1.会社概要の決定(会社設立の準備)-会社の基本的事項を決定します-

あなたの会社を決める基本となる10の事項。

会社設立に際して、準備として決定しなければならないことをひとつずつ確認していきましょう。

準備1 会社の商号(名前)を決定する
準備2 事業目的(仕事の内容)を決定する
準備3 会社の本店所在地(住所)を決定する
準備4 会社の資本金を決定する
準備5 発起人を決定する
準備6 発行可能株式数を決定する

上記は「絶対的記載事項」と言われ、必ず定款に記載するべき事項です。

 

さらに 下記4つの事項についても決定しておきます。

準備7 株式の譲渡制限を決定する
準備8 役員を決定する(機関設計)
準備9 事業年度・決算日を決定する
準備10 公告の方法を決定する

それぞれの詳しい内容は、各ページにてご説明いたします。

準備1 会社の商号(名前)を決定する

会社の商号(名前)の5つのルールと決定のコツ

会社の商号は事業成功のカギを握ります

会社の「商号」とは会社の名前のことです。

会社の商号は会社の顔であり、これから会社を運営していく上でも非常に重要な部分になります。

会社の商号は一度決めてしまうと、変更するには、定款の変更、登記の内容の変更および各官庁へ変更の届出などの手続きが必要になりますので慎重に決めましょう。

なお、会社の商号は原則として自由に決めることができますが、いくつかのルールがあります。

商号決定の5つのルールに注意しましょう

①会社の商号の中に「株式会社」の文字を使用する

株式会社という文字を使用すれば、株式会社○○または○○株式会社でもかまいません。(なお、株式○○会社は認められません。)

会社の形態により、
株式会社
合同会社
合資会社
合名会社

を使用します。

②商号に使用できる文字は次の通りです。

漢字

・ひらがな

・カタカナ

・ローマ字(大文字、小文字)

・アラビヤ数字(0、1、2、3、4、5、6、7、8、9)

・一部の記号
「&」(アンパサンド)
「’」(アポストロフィー)

「,」(コンマ)
「-」(ハイフン)
「.」(ピリオド)

「・」(中点)

「&」「‘」「,」「-」「.」「・」の6つの記号のみ使用することができますが、それ以外の記号「 」(カギカッコ) や?(クエスチョンマーク) ☆(星)などの記号は使用できません。

参考:会社名(商号)に記号や数字、アルファベットは使えますか?

③社会的に認知度が高い企業やブランドの名称を用いることはできません

例えば、三井、三菱、住友などの社会的に認知されている企業の名称や、シャネルやグッチなどの有名ブランド名も、誤解を招くため使用することはできません。

④銀行や信託、証券などの文字の使用はできません。

銀行業や証券業・保険業などを営む場合以外は、これらの文字を使用することは混乱を招くため使用できません。(認可制のため)

同様に、「○○支社」「○○支店」「○○事業部」「○○部」のような 社内の一部門を表す商号も使えません。(社名なのに会社内の一部門を思わせるため)

⑤同一住所に同一の商号がすでにある場合は登記できません。

法務局において「類似商号調査」を行います。現在の会社法では同一住所でなければ同一商号の登記は可能になりましたが、同じ市区町村内に同じ商号がないか、あるいは似た商号がないかを事前に確認しておきましょう。

会社設立 定款 商号 会社名 類似商号調査
他社の商号を侵害しないために 定款作成前の「類似商号調査」が大切です。

上記ルールを守った上で決定する会社名(商号)ですが、それ以外にも配慮しておきたいことがあります。

会社の「顔」としての社名(商号)だからこそ心に留めていただきたいこと

・覚えやすく発音しやすい名前を。

初見でも覚えやすい、印象に残りやすい社名は顧客やユーザーにとって親切ですしそれ自体が自社の宣伝となります。
また、発音しやすく聞き取ってもらいやすい社名なら、電話でのやり取りもスムーズです。

・ネットやSNSでドメインやアカウントが取得できるか。

自社名のドメイン(例)biz.kaisyain.com など) が取得できると通販サイトやホームページ作成に有利です。

・社名画数にも心配りを

画数が悪いので業績が伸びない…とは言えませんが、新しく会社名を決めるのであれば考慮しておくとよいでしょう。縁起の良い画数で商売繁盛・業績アップへのあと押しとなります。

画数の良い社名の例

Google 11画

セブンイレブン 15画

Yahoo! 15画

楽天 17画

社名の画数が気になる方はどうぞご相談くださいませ。
 ⇒会社名画数から社名判断いたします。

・社名の由来や事業への決意、顧客への想いが込められているものを

「覚えてもらいやすい社名」や「好感度が持てる社名」は、ただ単純にインパクトが強いものや個性的な社名だけとは限りません。その社名に決定するまでの由来や会社の基本理念・コンセプトなど、ドラマやストーリーで鮮やかに記憶に残る社名も数多くあります。

だれしも会社設立に際して決定する「社名(商号)」には様々な思い入れやコンセプトがあることでしょう。会社印鑑・法人印鑑は社名を刻む印(しるし)だからこそ、自社ならではのストーリーや決意を込めて作成したいアイテムです。

会社設立 登記 法人登記 登記設立 印鑑 法人印鑑 会社実印 角印 丸印 定款
「会社の顔」としての役割を果たす法人印鑑。

 

設立登記 登記 印鑑 実印 会社印鑑 法人印鑑 定款
事業の発展や業績拡大への願いを、社名に込めてお仕立ていたします。

社名の画数が気になる、設立登記にふさわしい会社印鑑を作成したい…。会社設立印鑑に関するお問合せ、うけたまわっております。

 

 

準備2 事業目的(仕事の内容)を決定する

事業目的は、ポイントを押さえて決定しよう

事業目的(仕事の内容)の決定

「事業目的」とは会社が営む仕事の内容のことで、必ず定款に記載すべき事項です。

登記 設立登記 定款 法人 事業目的 絶対的記載事項
「その会社がどんな事業をしているか」を明確に分かりやすく的確に伝えるのが「事業目的」です。 事業目的は、「定款」に記載すべき絶対的記載事項 で、その記載にはルールがあります。

事業目的 が重要な理由

①会社は定款で決めた事業目的の範囲内でしか営業活動を行なうことができません。
そのため、将来行なう可能性がある事業の内容は、設立の時点であらかじめ盛り込んでおきましょう。

②株主や取引先・金融機関にとって、その会社を識別する基準のひとつとして重要な判断要素となります。
株式を購入する、取引先として関係を持つ、融資をする・・・いずれにしても「何をしている会社か」は関係を持つにあたり大きな判断材料とされます。

③会社の事業目的は後から変更できないわけではありませんが、変更や追加する場合は手間も費用もかかります。定款の変更・登記の内容の変更などの手続きが必要になりますので慎重に決めましょう。

事業目的決定のルール

①法律に違反せず(適法性)
②利益を得ることができ(営利性)
③何をしている会社か分かりやすい
(具体性・明確性)

①目的や内容に違法性がないこと(適法性)

法律に違反するような内容を会社の目的とすることはできません。
例えば詐欺や人身売買・密輸など明らかな犯罪行為を「会社の目的」と出来ないことは当たり前ですが、税理士・弁護士などの一定の資格がなければできない業務を 法人が「事業目的」として記載することはできないなど、気付かずに適法性から外れてしまうこともあります。

②営利性のある事業であること(営利性)

会社は営利法人であるため、非営利の援助や社会貢献、無償のボランティア活動等のみを事業目的とすることはできません。組織として利益を上げ出資者(株主)により多くの配当を還元することが必要なのです。

③目的の内容が明確かつ具体的であること(明確性・具体性)

定款には 語句や目的全体の意味を一般の人が理解できるように記載しなければなりません。分かりやすく簡潔な記載が求められます。(明確性)

「具体性」は、新会社法の類似商号規制が廃止されたためかつてほど厳しい審査ではなくなりました。「製造業」「建設業」等のおおまかな記載が認められるようになりましたが、何を製造しているのか(コンピュータ機器の製造)、何を建設しているのか(住宅の増改築・リフォーム及び室内外装飾工事の設計)など、登記簿謄本を見た相手に ある程度伝わることが望ましいでしょう。

また、事業目的の決定の際には、次のことにも注意しましょう。

事業目的決定の際は、ここにも注意!

注意1 将来も見据えて

将来、事業拡大や新規事業着手の予定があるなら、事業目的に入れておく必要があります。定款に記載した目的すべての事業を行う必要はないため、将来の業務拡大を見越した事業目的を決定しましょう。

注意2 信頼性の得られる事業目的を

とは言うものの、やみくもに多くの事業目的を羅列したり 本業のイメージにそぐわない事業が入ると、取引先や融資を依頼したい金融機関からの信用を損ないかねないことも。

法人 設立登記 定款 事業目的
(※注:参考としての一例です。)

注意3 使用目的に使用できる文字には制限がある

原則として「ひらがな」「カタカナ」「漢字」の日本語の文字だけが使用できます。アルファベットは使用できないため、日本語の表現で記載する必要があります。(「Tシャツ」「Yシャツ」「IT」など、社会的認知度が高いものは認められる用語もあります。)

注意4 許認可制の事業に注意

役所の許認可を必要とする業種については、入れておかなければならない表現や記載があります。定款の目的の記載方法が適切でないために許認可が下りない・融資を受けられないといったこともあるので、あらかじめ確認が必要です。

【許認可等が必要な業種の例】

飲食店、喫茶店、パチンコ店、リサイクルショップ、人材派遣会社、不動産会社、酒類販売会社、旅行代理店、信販会社、理容・美容院、クリーニング店、食品関連会社、診療所 など

また、不動産業、貸金業、質屋業、農業などは、金融機関の融資判断が特殊な業種などもあります。

※後々の許認可や融資にも影響する「事業目的」

事業目的の記載内容は、金融機関から融資を受ける場合や事業によっては許認可の申請を受ける場合に、問題が生じることもあります。

定款作成前に・・・

定款を作成する前に必ず
・法務局に確認を取る
・専門家に相談する
など、不備のないようにしておきましょう。

準備3 会社の本店(住所)を決定する

会社の住所はどのように記載するのでしょうか?

会社の本店(住所)の決定

会社は本店の所在地(住所)を決めなければなりません。そして「定款」と「設立登記」において決定した住所を記載します。

定款には最小行政区画(東京都は区、その他は市町村)までの記載で足りますが、設立登記の申請の際には、具体的な詳しい住所を記載しなければなりません。

例えば、本店所在地が「東京都港区赤坂〇丁目〇番〇号 〇〇ビル〇階」の場合なら・・・

定款:東京都港区 までを記載

登記:東京都港区赤坂〇丁目〇番〇号 までを記載

定款に詳しい番地まで記載することはできますが、後に移転する場合を考慮して最小行政区画までにとどめておくと良いでしょう。(定款に地番まで記載してしまった場合、すぐ隣のビルに移転しても定款を変更しなければなりません。)

※「最少行政区画」とは?

・東京23区
・政令指定都市(札幌、仙台、さいたま、千葉、横浜、川崎、相模原、新潟、静岡、浜松、名古屋、京都、大阪、堺、神戸、岡山、広島、北九州、福岡、熊本の計20市(2017年現在))
・その他 全国の市町村

となります。

定款に記載する本店所在地は、「最少行政区画」まででもOKです。

 

設立登記後の日々の業務の効率アップに、ゴム印が便利です。

準備4 会社の資本金を決定する 

会社設立に資本金はいくら必要でしょうか?

現在、株式会社でも1円以上で設立が可能になりました。けれど実際に資本金1円というわけにはいきません。

資本金の役割とは?

資本金とは、「開業の準備資金」と「当面の運転資金」をまずはカバーする「軍資金」です。設立登記のために株式会社では約25万円、プロに手続きを依頼すれば10万円前後の費用がかかり、定款にも9万円程度必要です。
また開業までには、オフィスや店舗の賃料や什器備品の購入など、ビジネスをスタートするための各種費用がかかります。

開業後は 毎月の仕入やスタッフへの給与など会社を運営していくための出費は必ず生じます。

会社設立後すぐに利益が上がるわけではないため、設立登記→開業→事業展開の期間をまかなえる軍資金として、余裕をもって適正な資本金額を設定しましょう。

資本金額 の意味するところはそれだけではありません。

資本金額は、信頼・信用の判断材料

資本金額は、その会社の規模を表します。資本金が多ければ広く・長期的な業務を安定して行えることから、第三者からも信頼を得ることができます。

資本金の金額は、その会社を客観的に判断する上で、与信調査上分かりやすい判断材料となります。取引を行う上で資本体力がある会社が望まれるのは当然と言えるでしょう。

融資を受ける際の融資額にも影響

融資を受けたい場合も、資本金額が信用力となります。お金を貸す側にとって、その会社の返済能力が高いかどうか・事業継続の体力があるかどうかを判断する必要があるからです。

資本金が多い方が融資を受けやすくなりますし、資本金額が借入限度額の基準となります。

税金のことも考慮して

では、たっぷりと潤沢な軍資金を準備し、大きな信頼を得られるようにと資本金は高ければ高いほど良いのでしょうか。
1,000万円以上の資本金ですと初期から消費税の納税義務が生じる、決算時の法人住民税が割高になるなど税金面で不利な場合も出てきます。

許認可の必要性はあるかどうか

事業によって許認可が必要な場合に、資本金額の基準額が決められています。資本金額が要件を満たしていないために必要な許認可を受けることができない、ということのないよう、最低限必要な資本金額を確認しておきましょう。

例)
一般建設業:500万円
特定建設業:2,000万円
有料職業紹介事業:500万円
一般労働者派遣事業:2,000万円

参考:許認可が必要な事業とは?その申請先は?

自社にとって適正な資本金額を決めましょう

このように、

  • 設立・運営のための軍資金として
  • 社会的信用のバロメーターとして
  • 節税面も考慮して
  • 許認可の必要性に応じて

資本金額を決定することとなります。

会社設立 定款 資本金
自社にとって適正な資本金額で設定します

 

上記の要件を満たして決定された資本金額ですが、設立登記するためにはその額の資本金を集めなければなりません。資本金を集める大まかな流れとしては、

①資本金額を決める

②1株あたりの値段(価額)を決める

③発行株式数が決定する(①÷②)

④出資者(発起人)ごとの引受け割合を決める

金融機関の口座に払い込む

となります。

準備5 発起人を決定する

会社設立の「発起人」とは?その意味や役割・責任など

発起人とは

株式会社設立において、設立手続きを担う人のことです。
会社の基本事項を決定し、その内容を記載した定款を作成します。定款には「発起人」として署名捺印が必要です。発起人は、会社の設立登記が無事成立するまで責任を持って諸手続きを行うという役割を担うのです。
また発起人は 、1株以上の株を引き受ける必要があるため、発起人は自動的に「株主」となります。

会社設立後、発起人は株主となり、株式の割合に応じて会社の重要事項の決定に際し権利を行使したり、利益の配当を受け取ることができます。

発起人の人数は何人でもOK

発起人の人数は制限がないため、発起人は1人でも複数でも設立が可能です。

小規模会社の場合、「お金を出して会社を設立する人=発起人」と「会社に出資する人=株主」と「会社設立後、経営・運営する人=経営者(役員)」が同じ人なることも多くあります。

発起人 株主 役員 定款 登記
発起人 株主 役員 それぞれの役割

会社設立における発起人の役割と手続きの流れ

①会社の概要を決定する(商号、目的、所在地・・・)
②定款を作成する(署名・実印の捺印が必要)
③定款の認証を受ける
④株主を募集する(募集設立の場合)
⑤出資金を振り込む
⑥取締役の選任
⑦法務局での登記申請

定款に「発起人」として署名捺印します

発起人に関する事項は定款の 絶対的記載事項(必ず記載しなければならない内容)です。発起人の氏名、住所、発起人の引受株数を記載し、実印の押印と印鑑証明書の添付が求められます。

印鑑証明書について

発起人や役員が複数人の場合、
定款認証時:発起人全員分
設立登記時:取締役全員分
の印鑑証明書が必要です。

そのため、発起人となる人は個人の実印の印鑑登録を済ませ、印鑑証明書を取っておく必要があります。

定款に記載する発起人の住所は、印鑑証明書の通りに記載します。

発起人となる人は、早めに個人の実印の作成、印鑑登録、印鑑証明書の取得 を済ませておきましょう。

個人用実印の作成のご相談承っております。

会社設立登記という一世一代の大きなスタートの時。

だからこそ胸に秘めた想いや伝えたい決意があるはずです。

実印は自分自身の意志や決定の証(あかし)として社会的に重要な役割を果たす印鑑です。

大切な印鑑だからこそ、自身の名に思いや願いを込めておつくりいただけますよう、お手伝いいたします。

実印 印鑑証明 発起人 定款 会社 法人登記 設立登記 会社印 法人印 法人実印
大切な実印作成について、4代目・5代目彫刻士がご相談うけたまわります。

準備6 発行可能株式数を決定する

発行可能株式数とは あらかじめ決めておく将来の増資の上限

「発行可能株式数」とは?

会社が今後、どれだけ増資することができるかの上限を「発行可能株式数」として決めておく必要があります。「この範囲内でなら株主総会の決議なしに発行することが可能」な株式の上限数です。
将来、増資の際に株式をスムーズに発行できるように登記においてあらかじめ記載しておきます。
(この上限を超えて株式を発行するためには、株主総会の決議のもと登記の変更が必要です。)

発行可能株式数の決め方

会社設立時の株式の数(発行株式数)を元に、将来どのくらいの規模で増資する可能性があるかを考慮して設定することとなります。

・公開会社:発行済み株式数の4倍まで(制限有り)
・非公開会社:上限はないが、概ね4倍~10倍とすることが一般的

新しく会社を設立する場合は、中小企業にとってメリットの多い「非公開会社(株式譲渡制限会社)」が選ばれます。

発行可能株式数 定款 登記 法人 設立
設立時にあらかじめ増資の「可能上限」を定めておくことで、株主総会の決議なしにスムーズに株式を発行することができます。

 

「公開会社」と「非公開会社」とは? →キソチシキ

準備7 株式の譲渡制限を決定する

小規模会社は株式譲渡制限のメリットを活用しましょう

株式の譲渡制限とは?

自社の株式を第三者に勝手に売買されないよう「制限」するための規定で、中小企業にとってさまざまなメリットがあります。会社設立時に定款で定めておく必要があります。

公開会社と非公開会社

「株式」は本来自由に取引き(売買)されるべきものです。しかし、株式を持っている=その会社の経営に対して決定権を持つことができる ため、自社にとって都合の悪い人物や大資本の手に自社の株式の大半が渡ってしまうと、簡単に乗っ取られてしまう危険もあるのです。

そのため、「株式の譲渡(取引)をする場合には会社の承認が必要である」旨をあらかじめ定款で定めておくことで自社の経営権を守っておく必要があります。

  • 全ての株式に対し譲渡制限あり=非公開会社(株式譲渡制限会社)
  • 一部でも譲渡制限なしの株式がある=公開会社

と呼びます。

 

上場するような大規模な会社であれば、株式の一部を自由に譲渡可能にしますが、中小企業の多くは非公開会社を選びます。
3人未満の取締役で会社を設立する場合は株式譲渡会社(非公開会社)となります。

株式譲渡制限会社の主なメリット

メリット① 経営の安定化

上で述べたように、株式の譲渡制限を定めておくことで、自社の株式が第三者に分散して経営が不安定になってしまうことを防ぐことができます。
家族経営や一人会社のように、小さな会社にとって大きな安心材料と言えます。

メリット② 取締役は1人でも設立可能に

以前は3人以上の取締役が必要でしたが、新会社法 施行後、株式譲渡制限会社なら1人での会社設立ができるようになり、起業へのハードルが低くなりました。

メリット③ 取締役会の設置・監査役の設置は任意に

公開会社の場合、「取締役会」を必ず設置します。取締役会には、取締役3名以上、監査役(または会計参与)1名以上が必要で、それだけの人数の役員をそろえなくてはいけません。
株式譲渡制限会社にすると、取締役会を設置してもしなくてもよいため、社長1人で役員とし、監査役も設置してもしなくてもよい、ということになります。

メリット④ 役員の任期を延期できる

株式譲渡制限会社では定款に定めておくことで、役員の任期を10年まで延長できます。(通常は、取締役・会計参与は2年、監査役は4年)

メリット⑤ 株主総会の招集手続きが簡略化

株主総会の招集通知は原則2週間前までに書面またはメールで通知しなければいけませんが、1週間前まででもOK、また、口頭でも可、となります。

 

上記のように、株式譲渡制限会社は・株主を内輪に限定できる・起業しやすく・意思決定がスムーズと、中小企業にとってメリットとなる点が多くあります。

株式譲渡制限は定款で定めておきます

・自社が発行する株式すべてが「譲渡制限株式」であること。
・譲渡する場合の承認機関はどこか。(取締役会、代表取締役または株主総会)

等を定款に定めておくことで 株式譲渡制限会社(非公開会社) となります。

1人で会社を興す、家族身内など少人数で会社を経営する、といった小規模会社にとってメリットの大きい「株式譲渡制限」。自社にとって必要な内容を過不足なく定款に規定しておきましょう。

準備8 役員を決定する(機関設計)

自社にとってベストな機関設計を決めます

機関設計とは?

自社の役員や組織の布陣が「機関設計」です。

「代表取締役」「取締役」「取締役会」「監査役」「会計参与」「株主総会」 など、会社において意思決定をしたり運営・監査の権限を持つ人物や組織をどうするのか、を会社設立時に決定しておく必要があります。

自社にとって最適な「機関設計」とは?

法人 株式 登記 設立 定款 機関設計
会社の規模や運営に合わせて ある程度自由に機関設計ができるようになりました。

新会社法で規定が緩和されました

かつての旧会社法では、3人以上の取締役に加えて監査役をおき、取締役会を設置する必要がありました。また、資本金も1000万円以上必要でした。

新会社法施行後は、取締役1人で、資本金も1円で会社設立が可能となりました。ヒト・カネのハードルが下がり起業しやすい条件が整えられたのです。

機関設計も緩和され、会社の規模や事業目的などに応じて 様々な機関設計が出来るようになったのです。(ただし、条件や制限などの規定がそれぞれにあります。)

最もシンプルな機関設計は?

「株主総会+取締役」の構成がもっとも小さな機関設計となります。
一人で会社を設立し、出資し、株主となり、社長として会社を運営します。つまり、発起人=株主=株主総会=代表取締役として、設立も運営も意思決定も自分自身でスムーズに行えます。

取締役会を設置するかしないか

「取締役会」を設置しない場合、「株式譲渡制限会社(=非公開会社)」でなくてはいけません。(※準備7 株式譲渡制限を決定する 参照

「取締役会」を設置する場合は、株主(会社に出資した人)が会社の経営や方針に口出しをする権限や機会を少なくすることができます。(株主総会よりも取締役会の方が権限が強いため)

個人経営や家族経営のような小規模会社は、株式譲渡制限会社(=非公開会社)として取締役会を設置しない、
出資者を多く募る大規模会社なら、取締役会を設置、となることが多いようです。取締役会は、取締役が3人以上 加えて監査役も必要であり、つまり4人以上の役員就任が必要です。

定款に記載しておくポイント

・記名
定款に記名しておくことで「発起人会議事録」での申告が不要となります。

・任期
何も記載しない場合、役員の任期は2年です。(監査役は4年)
株式譲渡制限会社(非公開会社)であれば 最大10年までの任期が可能なので、定款に記載しておくことで手続きが楽になります。

・役員の人数
「〇人以上」「〇人以内」と幅を持たせて記載しておくことで、役員数の増減に備えておけます。

上記、役員の任期や氏名・住所などは、定款の「絶対的記載事項(必ず記載しておかなければならない内容)」ではありませんが、定款等に規定しておかないと法的効力が生まれない内容もあります。
また、自社にとっての適正人数や任期など、専門家に相談して設立後の運営がしやすいよう過不足なく記載しておくことが望ましいでしょう。

準備9 事業年度・決算日を決定する

事業年度と決算期は会社の実情に合わせて決定します

事業年度と決算期とは?

会社の業務を行う上で、最長1年の期間を「事業年度」として定めます。そして、年度末である最終月を「決算期」として区切り、利益を計上し税金を納めます。

「4月1日から3月31日」を事業年度とするならば3月決算、
「10月1日から9月30日」を事業年度とするならば9月決算、となります。

事業年度及び決算期は任意に決めることができますが、実情に考慮して決定します。
もっとも一般的なのは3月決算ですが、そのほか 外資系なら12月決算、税務署の繁忙期を避けた7月決算、9月決算など、それぞれの会社の事情や関連企業との兼ね合い、業界の慣例や商習慣に応じて決めることとなります。

会社設立 定款 事業年度 決算期
決算の後は確定申告を行います

決算~申告までは多忙となります

決算期は伝票整理や帳簿類の整理など業務が増えます。繁忙期と重なると通常業務に加えて決算業務まで抱えることとなり、経理部門や経理専任の担当者がいない小規模の会社では支障をきたしかねません。

決算期の決め方

◆国の会計年度に合わせる

公的機関の決算期が3月であること、税制改正が多くは4月1日から実施されること、教育機関の年度区切りが3月末であること、などから日本では4月から3月の事業年度が一般的となっています。

◆自社の繁忙期を避ける

事業内容によって、忙しい時期はそれぞれ異なります。決算期と繁忙期が重ならないよう考慮しましょう。

繁忙期後に決算期を設けると、商品在庫を持つ事業であれば在庫がさばけている分、棚卸も楽になるという面もあります。

◆税務署の繁忙期を避ける

税務署や税理士が忙しい時期をわざと避けることで、決算業務や申告をスムーズに、という選択も。

◆業界や取引先と合わせる

外資系などでは世界の会計基準に準じて12月決算とする企業が多いようです。小売業では2月決算が多いなど、業界業種ごとの通例があります。

◆暦に合わせる

暦通りの1月1日から12月31日を事業年度とするケースです。
個人事業主の事業年度が1月1日から12月31日と決められているため、個人事業主から法人成りした場合などは、そのまま事業年度を継承することもあります。

会社設立日と決算期の関係にも注意を

◆設立間もない時期の決算は大変

初回の決算期は設立から1年未満で設定しなければいけません。10月設立で12月決算の会社の場合、設立後すぐに決算期を迎えることになってしまいます。

◆消費税の免税期間を活かす

設立時の資本金が1,000万円未満の会社は、第1期目は消費税の納税義務の免除が受けられます。そのため、設立年月日の前月を決算月とすれば 免税期間をもっとも長く取ることができます。

 

基本的には、特別な事情がなければ 設立日から1年後を決算期とすることとなります。

決算月・事業年度は、後で変更することも可能

会社設立後、将来的に決算月(事業年度)を変更することも可能です。